楽しくメンタルケア!科学的に立証された面白ストレス解消法
5月は年度替わりにともなう環境の変化でストレスがたまり、精神的な不調が現れやすいタイミングです。
ストレスの解消には運動などで気分転換をするのが効果的といわれますが、憂うつな気分のときは運動すること自体がおっくうなことも。
そんなときはぜひ、日常生活のなかで楽しく実践できる“アクション”でメンタルケアをしてみませんか?
「ストレス症状は脳の反応によって起こりますが、脳は体の動き、つまり“アクション”の影響を受けることが科学的にわかっています。
そのため、“アクション”によって脳を楽しい状態やポジティブな感情に導いて、ストレスをやわらげることが可能なのです」 こう話すのは、心理言語学者の堀田秀吾さんです。
そこでここでは堀田さんに、不安や気分の落ち込みなどを解消することが科学的に認められている楽しい“アクション”を、いくつかピックアップして教えてもらいましょう。
1.爪をきれいにする
外見を美しく装うことは、自尊心のアップや精神的な余裕につながることが知られています。
なかでも京都大学の研究では、爪にマニキュアを塗ると、緊張、疲労、落ち込みなどが減少することが示されています。
顔は鏡を見ないと見ることができませんが、爪は鏡がなくても見ることができ、目に入る機会も多いため、精神面に与える影響も大きいと考えられます。
マニキュアだけでなく、爪を磨いたりオイルを塗ったりすることも、緊張や疲労をやわらげる効果が期待できるでしょう。
2.変な動きをする
サンフランシスコ州立大学の研究では、同じ側の手足を同時に動かして変な歩き方をするグループと、背中をまるめてしょんぼりと縮こまった姿勢で歩くグループを比較したところ、変な歩き方をしたグループは気分が元気になり、しょんぼりと歩いたグループは元気がなくなったことがわかりました。
これは、脳が体の動きを見て反応していることを示しており、変な動きをすると「変な動きをするくらい楽しい状態だ」と脳が判断するためです。憂うつなときは変な動きをしてみると、楽しい気分になれるでしょう。
3.笑顔を自撮りする
カリフォルニア大学アーバイン校で、3つの異なる条件で毎日写真を撮る実験が行われました。
1つめの条件は自分の笑顔を自撮りすること、2つめの条件は自分を幸せにするような写真を撮ること、3つめの条件は他者を幸せにするような写真を撮ること。
この3つの条件で4週間撮影を続けたところ、毎日笑顔を自撮りした人は最も気分がポジティブになり、自分を幸せにする写真を撮り続けた人は思慮深さが向上し、他者を幸せにする写真を撮り続けた人は対人ストレスが軽減したのです。
スマホの撮影機能を楽しむ人が増えていますが、ポジティブになりたいときは笑顔を自撮り、思慮深くなりたいときは自分が幸せになる写真、対人ストレスをやわらげたいなら他者が幸せになる写真を撮る、という活用法もおすすめです。
4.温かいカップを持つ
コロラド大学とエール大学の研究では、冷たい飲み物が入ったカップを持つときと温かい飲み物が入ったカップを持つときを比較すると、温かい飲み物が入ったカップを持つときのほうが他者をより温かい人物だと評価することがわかりました。
これは、温かいものに触れているだけで、他人に対する配慮や気遣いが生まれやすいことを示しています。
イライラして他人に当たりやすいときや、落ち込んでいてネガティブな発言をしそうなときは、会話の際に温かいカップを持ちながら言葉を交わすと相手にやさしくなれそうです。
どの“アクション”も気軽に楽しみながらできるものばかりです。
ぜひ、「面白そうだな」と思うものを気分に合わせて取り入れてみてください。
監修 堀田秀吾さん
心理言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。
商標や裁判員裁判などの司法分野におけるコミュニケーションにおいて、社会言語学、心理言語学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。
また、研究以外の活動も積極的に行っており、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。
『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング/共著)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)など著書多数。
RMエージェンシー株式会社
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