最新のダイエット医学による“食べてやせる”食事法
3月になり、少しずつ春の息吹を感じられるようになってきました。
薄着の季節がくる前に、そろそろダイエットを始めようと考えている人もいるでしょう。
ダイエットといえば「カロリー制限」というイメージが強いですが、年間5万人を保健指導する医師の益江毅さんによれば、いくら食べたいものをがまんしてカロリー制限をしても、やせることができないことが医学的に明らかになったといいます。
「以前は『摂取カロリーを抑え、それ以上に消費カロリーを上げればやせられる』という考え方である『エネルギーバランスモデル』が多く採用されていました。
しかし、最新の研究では太る原因とカロリー摂取量はまったく関係がないことが明らかになり、2021年9月に米国栄養学会によってエネルギーバランスモデルは完全に否定されました。
つまり、カロリー制限をしてもダイエットは成功しないというわけです」(益江さん)
では、どうすればダイエットできるのかというと、食後の血糖値の上昇を抑えることにカギがあると、益江さんは話します。
「私たちは糖質(炭水化物)を取ると、その後に血糖値が上昇します。
その上昇した血糖値を下げるために『インスリン』というホルモンが分泌され、糖が体脂肪となります。
そのため、食後の血糖値の上昇を抑えることができれば体脂肪が蓄積されにくくなるわけです。
この考え方を『炭水化物-インスリンモデル』と呼びますが、米国栄養学会はこの考え方にもとづくダイエットこそが有効だと結論づけています」(益江さん)
この最新のダイエット理論をふまえて、具体的にどうするとやせることができるのか、そのポイントを教えてもらいましょう。
1.主食はたんぱく質や脂質と“合わせ食べ”する
糖質はご飯やパン、麺類等の主食に多く含まれているため、主食の量を控えめにすることがダイエットにつながります。
しかし、たんぱく質や脂質には血糖値の上昇を抑える性質があるため、主食の量を減らさなくても、たんぱく質や脂質と一緒に食べることで太りにくくなります。
白ご飯よりも卵かけご飯やチャーハン、なにもつけないパンよりもバターたっぷりのパン、和風パスタよりもペペロンチーノやカルボナーラのほうが、ダイエットになるといえるでしょう。
2.野菜や肉・魚類を先に食べ、主食は最後に食べる
食事をするときはまず野菜や肉類・魚類から食べ、主食は一番最後に食べるようにすると、食後の血糖値上昇をやわらげることができます。
また、野菜や肉類・魚類を先に食べることである程度の満足感が得られるため、最後の主食を少量にしても満足を得やすいというメリットもあります。
3.朝食を食べる
食後の血糖値は、食事までの絶食時間が長いほど上昇しやすいという特徴があります。
そのため朝食を抜くと、前日の夕食から当日の昼食まで絶食時間が長時間続くため、昼食後の血糖値が急激に上昇しやすく(血糖値スパイク)、太りやすくなります。
一方、朝食を食べると食後の急激な血糖値上昇を防ぐことができるため、太りにくいのです。
ただし、それでも朝食は前日の夕食からの絶食時間が長く、三食のなかでは最も食後の血糖値が上がりやすいため、糖質は控えめにしてたんぱく質をしっかりとるようにしましょう。
食べたくてもがまんするダイエットは、筋肉が落ちてしまうため、かえって太りやすい体になってしまうこともわかっています。
この春は最新の医学に基づく“がまんしないダイエット”で、食べてやせることを目指してみてください。
監修 益江毅さん
医師・労働衛生コンサルタント。産業医科大学卒業後、大阪大学医学部第一内科、大阪警察病院等で内科専門医、救急専門医として勤務した後、三洋電機株式会社大東産業保健センター所長・パナソニック大東健康管理室室長・専属産業医に就任。2012年に産業保健サービスを提供する株式会社健康管理室を大阪市内に起業。
これまでに200社以上で産業医をつとめる。
1月19日に発売された最新刊『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』(ダイヤモンド社)では、インスリンの分泌量を抑えるためには糖質をなにと組み合わせて食べればいいか、いつ食べればいいか、食べた後になにをすればいいか等を詳細に掲載。
日本で初めて最新のダイエット理論「炭水化物-インスリンモデル」を取り上げた本となっている。
https://kenkokanrisitu.com/
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