1年間で6万円分生まれている「食品ロス」を減らす方法
本来は食べることができるのに、捨てられてしまう「食品ロス(フードロス)」。
農林水産省・環境省による2018年度推計では、日本における年間の食品ロスは約600万トンあり、そのうち276万トンは家庭から生まれているとされています。
飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量は年間約420万トン(2019年)ですが、その65%に相当する量の食品が、日本の家庭から廃棄されていることに。
また、焼却時のCO2排出や焼却後の灰の埋め立てなど、生ゴミの多さは環境への負荷にもなっています。
さらに、京都市の調査(京都市食品ロスゼロプロジェクト)では、1世帯(4人家族を想定)あたりの食品ロスは年間で約6万円にものぼるという試算が出ています。
食品ロスを減らすことは、倫理面や環境面だけでなく、家計面でもメリットが大きいといえます。
食品ロスが生じる主な原因は、食べ残し、賞味・消費期限切れや食品の傷み、皮のむきすぎなど。
これらを極力少なくするためのアイデアを、料理研究家・食品ロス削減アドバイザーの島本美由紀さんに教えてもらいました。
1.特売品や大容量パックを安易に買わない
買う予定がなかったのに、「特売」や「お買い得」などのキャッチコピーに引かれてつい買ってし まうと、結局使いきれずに無駄になる可能性があります。
また、大容量パックはお買い得だと思われがちですが、食べ続けるうちに味に飽きたり、長期間保存している間に風味が落ちたりして、使いきれずに捨ててしまうことが。
大量のまとめ買いも食品ロスを生みやすいので、買い物は3日に1回の頻度がおすすめです。
買い物をする際は、3日分の献立をざっくりと決めて、献立に必要な食品以外はできるだけ買わな いようにするといいでしょう。
空腹時に買い物に行くと余計なものを買いやすくなるため、食事後に 買い物に行くこともひとつの手です。
2.冷蔵庫に食品を詰め込みすぎない
冷蔵庫にぎっしりと食材を詰め込むと、奥にある食品や重なって下に埋もれた食品が見えにくくなり、消費期限を確認できなかったりその食品自体を見落としたりと、食品ロスが生まれやすくなりま す。
冷蔵庫に入れる食材は7割程度に抑えると、消費期限などの管理がしやすいうえに、冷気の循環 もよくなり、冷蔵効率も高まります。
3.長く保存して使い切る
家庭から出る食品ロスで最も多いのは野菜です。
使い切る前に野菜室で傷んでしまった・・・ということを防ぐためにも、買ったら新鮮なうちに冷凍保存をするといいでしょう。
ほとんどの野菜は冷凍することができ、1ヶ月程度の保存が可能です。
食べやすい大きさに切り、保存容器などに入れて冷凍しておくと、凍ったまま調理することができて時短にもなります。
冷凍すると野菜本来のうまみや甘みがアップするので、よりおいしくなるというメリットも。
4.皮などを捨てずに食べる
食品ロスは「野菜などの皮のむきすぎ(過剰除去)」も原因のひとつとされています。
皮をできるだけ薄くむくことも大切ですが、食べられるものはできるだけ食べるようにするといいでしょう。
ニンジンの皮、ショウガの皮、ブロッコリーの芯、ピーマンのワタやタネなどは、栄養が豊富でおいしく食べることができます。
よく洗って汚れを落とし、調理に活用してみましょう。
できることから少しずつはじめて、地球にも家計にもやさしい食生活を目指してみてください。
監修 島本美由紀さん
料理研究家、食品ロス削減アドバイザー、ラク家事アドバイザー。
実用的なアイデアが好評でテレビや雑誌を中心に活躍し、著書は70冊を超える。
2018年に「食エコ研究所」を立ち上げ、冷蔵庫収納と食品保存が学べるスクールを運営。
食品ロス削減アドバイザーとしても活動し、家庭で楽しみながらできるエコアイデアを発信している。
新刊『栄養素も鮮度も100%キー プ!おいしい冷凍保存術』(宝島社)が好評発売中。
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