中高年から知っておきたい「エンディングノート」の書き方
中高年を迎えると、若い頃に立てた人生計画とは多少なりともズレが生じるもの。
このタイミングで、改めて人生後半の計画を立て直したいと思う人も多いかもしれません。
そんなときに活用したいのが「エンディングノート」です。
終活カウンセラーの石崎公子さんは「エンディングノートを書くことは、自分の過去・現在・未来を俯瞰して整理整頓することです。
人生の後半をどう生きたいのかを考えるツールとしてもおすすめです」と話します。
そこで石崎さんに、エンディングノートの書き方を教えていただきました。
1.自分の遺影を選ぶ
遺影を選ぶことは、自分のどんな顔を家族や友人に覚えておいてほしいのかを考えることです。
遺影は必ずしも晩年の写真でなくてもいいので、今ある写真から一番自分らしい顔を選んでみましょう。
新たに撮影するのもおすすめです。その後、写真は変更してもかまいません。変更の記録は、そのときどきの「いい顔」の記録にもなります。選んだ写真はプリントしてエンディングノートに貼り、撮影日時や場所、なぜその写真を選んだのかを記します。写真データの保管場所も忘れずに記入しましょう。
2.人生の振り返りをざっくりと書く
自分自身の過去を振り返り、それぞれの時代で楽しかったこと、嬉しかったこと、夢中だったこと、苦しかったこと等を書き出してみましょう。
人生の充実度・幸福度を年代別の折れ線グラフにして、そのグラフに出来事を書き込むのもおすすめです。
自分の歴史を振り返ることは自分の価値観や考え方を再確認することにもつながり、未来について考える際の基盤にもなります。
3.医療について知識を深めながら考える
エンディングノートには、病名や余命の告知、延命治療、終末医療、尊厳死、臓器提供、献体等の希望や意思について記入する欄があります。
こうした項目の記入は、ある程度医療の知識がないとなかなか難しいもの。
この機会に延命治療や終末医療等についての情報を仕入れながら、じっくりと考えてみましょう。
4.資産について書く
現在どこにどんな資産があるか、ざっくりと書き出して、これからの使い方と管理の仕方を考えましょう。
銀行口座や保険も整理して、長年使用していない古い口座や不要な保険があれば解約をして整理する機会にもなります。
お金以外の資産や思い出の品等についてもリストにしておき、どのように大切であるかも記しておくといいでしょう。
5.介護について書く
もし自分が要介護状態になったときに、どこで誰に介護をお願いしたいですか。
介護費用はどうしますか。
あまり考えないことでしょうが、ざっくりと考えて書いてみましょう。
この機会に、介護保険サービスについて詳しく知っておくことも大切です。
6.ラストプラン(葬儀や墓等)について考える
葬儀をするかしないか、するとしたらどんな葬儀をしたいのか考えてみましょう。
家族葬、1日葬、音楽葬等、葬儀にもさまざまなスタイルが登場しています。
家の宗教や宗派、檀家になっているなら付き合いのあるお寺の情報も記しておきます。
お墓についても考えましょう。そもそもお墓があるのか、あるならそのお墓に入るのか、新たにお墓を購入するのか、それも永代供養墓、納骨堂、散骨や樹木葬にするか・・・等、さまざまな選択肢があります。
ラストプランは、後に遺される人たちにも大きく関わる問題なので、家族や友人とも話し合いながらじっくり考えていくのがいいでしょう。
この1から6のステップは、まず「ざっくり」と取り組み、家族と話しながら繰り返し書き直すことが大切だと、石崎さんは話します。
そして記入するページには記入日を、修正したら修正日も追記したうえで、なぜそうしたいのかの理由となる“思い”をできるだけ具体的に書くようにしましょう。
それが、これからの人生をどう生きたいかを明確化することにつながるはずです。
監修 石崎公子さん
終活カウンセラー、供養コンシェルジュ。国家資格キャリア・コンサルタント(JCDA認定CDA)。
人の生き方が滲み出る顔つき、遺影に興味を持ったことがきっかけで終活の世界へ。
終活・エンディングノートに関するコンテンツ提供や終活系講座講師、個人相談等を行っている。
著書に『失敗しないエンディングノートの書き方』(法研)等がある。http://travessia.biz/
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