【いきいきコラム】 大阪刑務所で「ひとりコンサート」
先日、当社の顧問弁護士の中道先生と食事をしました。ミナミのあるお店で食事をした後、中道先生の高校時代の同級生「鎌倉さん」がやっているバーに行きました。
鎌倉さんは、フォークギターによる弾き語りをされるミュージシャンでCDも出しておられます。この方が他と少し違うのは、大阪刑務所や地方の刑務所で慰問のコンサートを開いておられることです。その鎌倉さんから、大阪刑務所で行なったあるコンサートでのお話しを聞かせて頂きました。
300人もの受刑者たちが会場(もちろん刑務所内の講堂)へ入場して来るのですが、私語はまったく無く、足音だけが静かに鳴り響き、着席後も手はひざの上、普通のコンサートでは考えれない静粛な雰囲気だそうです。
ギターを弾き、歌を歌い始めてからも手拍子は禁止、手はひざの上、それでも、だんだん雰囲気が盛り上がっていき、曲によっては涙を流す方もいるそうです。そして、いよいよ最後の曲を歌い終わると大拍手が巻き起こり会場は熱気で包まれ、逆に鎌倉さんの方が感動させられたそうです。
そして、退場するときは、やはり静かな足音だけが鳴り響き、そしてシーンと静まり返る、さっきまでの熱気がウソのように感じられるとのことでした。
ところで、鎌倉さんは、コンサートの冒頭での「つかみ」として、次のようなことを言うそうです。
「皆さん全員同じ髪型ですねー。」
「服もみなさん一緒ですねー。今、それ、はやりですかー?」
すると、ドカーンと受けるそうです。
でも、1回だけ受けなかったことがあったらしく、後で知ったらしいのですが、それの時の受刑者は、暴力団関係の方の集団だったそうです。
それにしても、彼らは我々と同じ人間ですよね。刑務所内でのコンサート、こっち側で歌うか、あっち側で聴くか、この違いは「法律に触れる行為をしたから」だけでは解決がつかない、もっと人間の心の奥深いところに何かがありそうです。ちょっと考えさせられました。
森田良作